Versace(ヴェルサーチェ) のアモーレ

大阪なおみ選手の優勝の次に嬉しいニュースがこれ!ヴェルサーチ ジャパンが、10月1日(月)付けでブランド名の表記を既存のヴェルサーチからヴェルサーチェ(社名はヴェルサーチェ ジャパン)に変更することを発表。

「ふ~ん、それで?」という声も聞こえてきそうだけれど、イタリア語やイタリアンファッションに興味や想い入れがある人にとって、この社名発音がイタリア語読みのヴェルサーチェ(“ヴェ”も、しっかり前歯で下唇を噛んで、“ル”もこれでもかと思い切った巻き舌で発音してくださいまし!)へと変更された意味は大きい。

Versaceが爆発的な人気を博したのはバブル絶頂の80年代。当時…わたしは中高生でVersaceに袖を通す機会はなかったけれど、スーパーモデルのリンダ、クラウディアシファー、そして当時大好きだったヤスミンゴーリが豊満な肉体をVersaceでセクシーに武装してランウェイを闊歩する姿に強い衝撃を受けた。

「早く成熟した大人の女性になりたい。」そんな憧れを抱いた。それが日本市場では薄っぺらい顔と肉体なのに“金だけはあるよんっ”ってな関西を中心としたバブル人によって、派手な柄のお洋服やアクセサリーだけが毛羽く悪目立ちしてしまったっけ。

ギリシャ神話に影響を受けたGianni Versaceのデザインやパターンを着こなすには、それ相当の濃く厚い顔立ちと肉体はもちろん、メンタルな“気迫・意識”が不可欠だと思う。それはマネタリーパワー(金の力)だけでは追いつかない。

私がミラノのビジネススクールSDA BOCCONI大学のMAFED(Master Of Business in Fashion & Experience)に入学し、初めて出された課題がファッションブランドについての考察論文。「各ブランドのAmbivalence(相対する2つのもの)について論じよ。」という内容で、私が割り当てられたブランドがアルマーニ、ヴァレンティーノ、グッチ、そしてこのヴェルサーチェだった。

デザイナー故Gianni Versaceが生まれ育ったのはレッジョ・カラブリア。イタリアのブーツのつま先あたりに位置する“マフィア・玉ねぎ唐辛子・頑固者”で知られた土地。

バカンスで1か月ほどカラブリア州のトロペアに滞在した経験があったけれど、本当に海と唐辛子しか無いほどの土地だった。でもそのSemplecita’(シンプルさ)が旅人を魅了する。

さて日本ではイタリアやイタリア人を“性的にオープンでフレンドリー”というイメージを持っていると思うけれど、それは断じて違う。カソリックのお膝元なので、保守的な人も多く、アラブやトルコの影響強い南イタリアでは女性の地位はとても低く封建的。土地や一族に継がれる無言のタブーが根深い。因みにイタリア全土で離婚するにはいまだに別居期間3年が必要です。

「DVがあっても経済的にも宗教的にも離婚はタブーだし、婚前交渉についてもすごく厳しく女性にとって生きづらい。」そんな話をカラブリア州で仲良くなった現地の先生や友人からもそんな話をよく聞いたし相談されたっけ。

マフィアの勢力の強さもあり産業が育たない貧しさ、それに加えてセクシャリティや個性への無言な圧力がある土地。ブランド創立はミラノだけれど、ブランドの根幹カラブリア産まれたことにVersace(断じて読みはヴェルサーチェ!)の魂がある。

「女はこうであれ、こう生きるべき。」「男はこうであれ、こう生きるべき。」そんな既成概念や貧しさという逆境へのGianni Versaceのチャレンジ。これこそが、Versaceの使命からの愛、アモーレ❤️

カラブリアという土地が持つ保守的な文化と経済的な貧しさVSジャンニヴェルサーチェが放つ官能的なデザインと色使いや生地の豊かさ

封建VS挑発

これが私が論文で記述したVersace(ヴェルサーチェ)のAmbivalence(相対する2つのもの)。

さてさてArmaniは正妻の服、Versaceは愛人の服と言われてきた。でもVersaceを着こなせるのは“男に囲われ翻弄される不力な愛人”なんかじゃない。不遇を味わってもチャンスが来たら全身で掴みに行ける愛人。セックスアピールすら武器にして人生に挑める愛人。どんなタブーや既成概念にも屈せず、自分の性を謳歌する愛人。

愛人と書いてアマゾネスと読むくらい、美しく、逞しく、セクシーで、ときに狡猾にもなれる。泥水飲んだ分美しくなれるファムファタール。まさにギリシャ神話を愛したGianniが表現した生身の女。だからこそVersaceは規制概念や逆境に中指立て生きるマドンナ、プリンス、エルトンジョンやシェールに愛されてきた。

そしてVersaceは派手で奇抜なプリントがよく取り上げられるけれど、無地の上品なドレスも沢山あり縫製技術も高い。さすがにGianni Versaceの母親がお針子さんを抱える縫製工場を経営していただけあるなぁと思うクオリティ。しっかり地に足をつけた基礎があるからこそ、斬新でセクシーなデザインやギリシャ神話モチーフが映える。

Donatella(今の経営者でGianni Versaceの妹)が社名を変える決心をしたのはVersace(ヴェルサーチェ)ファミリーの誇り・原点・ルーツに帰るという意味だと思う。

大いに祝福したい。

そしてこのブランドに袖を通す美女たちが、このブランドの持つカラブリア生まれの不屈のチャレンジ精神を纏ってくれたら嬉しい。

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